2026.05.05 開発ログ

会議を書かないAIを作る
— Quill 開発ログ #1:計画編

ひとりで仕事をしていると、議事録は要らない。
でも社員5人くらいの組織からは、急に必要になる。
そして誰がやっても続かない、そんな話を最近よく聞いた。

だから、それを解く AI を作ってみることにした。

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Quill は「会議を、書かなくていいAI」になる予定です。
会議が終わると、決定事項・ToDo・参加者ごとの担当が、構造化されたノートになって届く。
このサービスを実際に運用する想定で考えてみると、すぐに6つの問題が見えた。

— Problem 01

そもそも、誰がどうやって録音するのか

「会議を録音すれば AI に渡せる」のは正しい。
でも実務だと、毎回「録音係」を一人立てる前提のサービスは続かない。 本人が忘れる、保存先がバラバラ、共有を忘れる——どこかで必ず途切れる。

運用に乗せるには、人の手を完全に外す必要があります。

→ Solve

会議の予定が入ると、AI が自動で会議室に入ってくる仕組みにする。 Zoom や Google Meet に「Quill が参加しました」と通知が出て、終わったら勝手に退出。 人間側はカレンダーに予定を入れるだけ。録音係の概念を消す。

— Problem 02

使えば使うほど、運用コストが膨らむ

AI で文字起こしをするには、外部のAIサービスに音声を渡してお金を払う必要があります。 このサービスは月額固定ではなく、処理した音声の長さに応じて課金される仕組み。使えば使うほどコストが増える。
ざっくり1時間の会議で約 $0.36(約50円)。 利用者が1000人で1人あたり1日30分使うと、それだけで月 $5,400(約80万円)がコストになる計算。

ここを早めに設計しておかないと、料金プランの利益がそのまま消えていく。

→ Solve

初期は外部AIを使う。 利用者が増えてコストが利益を圧迫し始めたら、自社で文字起こし機能を持つ運用に切り替える段階的な戦略にする。 切替えのタイミングは、利用ボリュームの変化点を見て判断。 印刷物を外注している会社が、毎月の発注量が増えたタイミングで自社に印刷機を入れるのと同じ発想。

— Problem 03

「文字起こし」だけでは、議事録にならない

会議の発言を全部テキストにしただけのファイルは、誰も読みません。
ほしいのは「で、結局なに決まったんだっけ?」「私、何をやるんだっけ?」に 3秒で答えられる形のノート。

ここの「読みやすさ」がサービスの価値を決めます。

→ Solve

AI に3段階で処理させる:
① 全文から「決定事項」「アクションアイテム(ToDo)」「保留事項」を抽出
② 各 ToDo に「誰が/いつまでに」を割り当てる
③ 全体を 200〜400字の要約にまとめる
毎回お手本を見せながら処理することで、形式のブレを抑える。

— Problem 04

「誰が言ったか」を、実名で残せるか

AI で「声を分けて記録する」ことは、今の技術だと7-8割は当たる。 ただし結果は「話者A」「話者B」という匿名のラベル。
議事録としては当然、「中村さん」「田中さん」と実名で残したい。

→ Solve

Zoom / Meet の参加者リストから名前を取得し、各人の発言タイミングと突き合わせて自動でマッピングする。 初回だけユーザーに「この声は中村さんで合ってる?」と確認してもらい、 2回目以降は同じ人の声を自動認識する仕組み。

— Problem 05

議事録は、いつ届くのが正しいか

最初は「会議中にリアルタイムで議事録が画面に出る」をイメージしていた。
でも考えてみると、会議中に議事録画面を見る人なんていない。話に集中している。

逆に「終わった瞬間に通知が来て、3分後に開いたら全部書かれている」の方が、体験として圧倒的に強い。

→ Solve

リアルタイム表示は捨てる。 会議終了の瞬間に処理を開始し、3分以内にメール / Slack に届ける構成にする。 コスト・速度・体験のすべてが整う。

— Problem 06

「会議を録音されるのは嫌」という現場感情

技術が完璧でも、現場の人が「録音されてる」と気持ち悪く感じたら、絶対に使われません。
とくにクライアントとの会議で AI が黙って参加してたら致命的。

→ Solve

AI が会議に入った瞬間に、「Quill が記録します。停止したい方はホストにお伝えください」と全員にチャットで通知する。 ホスト側にはワンクリックで退出させるボタンを常設。
「録音されている事実が、誰の目にも見える」ことが、抵抗感を消す第一歩。 これは機能ではなく、サービスの態度の設計。

ここまでは計画。
実装が始まると、たぶん半分は裏切られる。
それも記録の対象にする。

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